社会問題になった「てるみくらぶ」の破産から女性起業家が学ぶべき事とは?

旅行会社全体の信頼を大きく損ねる事になった「てるみくらぶ」の破産問題。経営破綻の発表直前まで、現金一括入会キャンペーン等で資金を集めようとしていた動きも発覚しており、「もはや詐欺では?」という声も上がり、さらには破綻の3年前から粉飾決算をしていたという事実まで発覚。

大きな社会問題にまで発展しました。

てるみくらぶの経営者は女性社長だったという事もあり、今回は「てるみくらぶ」の破産から女性起業家が学ぶべきこととは?というテーマでお話してみたいと思います。

 

そもそも、「てるみくらぶ」は何故破綻したのか?

元々は、旅行業界(航空会社・ホテル)と旅行者のwin-winの関係を築けていた

てるみくらぶは、元々、飛行機の空席や、ホテルの空き室をまとめて大量仕入れする事で、航空券のチケット料金・ホテルの宿泊代を安く仕入れて、格安で顧客に販売するというビジネスモデルで成功した起業です。

旅行業界にとって「てるみくらぶ」はロス・赤字の基となる空席、空室の問題を解消してくれる有り難い存在で、業界からの信頼も厚かったといいます。

また、旅行者にとっても、安くで国内旅行や海外旅行に行けるという事は、トラブルさえ無ければ、この上ないメリットですよね。

いわば、win-win、もしくはwin-win-win、三方良しの関係を作れていた訳で、業界の課題をチャンスに変えるという点でも、素晴らしいビジネスの着眼点だったと思います。

業績悪化のキッカケその1:「航空会社の方針変更」

てるみくらぶの業績が傾くキッカケとなった原因には航空会社の方針変更も影響しています。

過去は大型の飛行機が多く、便や時間帯によっては空席も多く出ていたので、てるみくらぶのように空席を安くで一括仕入れするというビジネスモデルが成立していました。でも最近では全体の便数は増えているものの、それ以上に旅行者の数が増えていますし、効率性を重視した航空会社が比較的コンパクトな型の飛行機を運用することが主流となり、そもそも空席が出にくい状況になっています。

また、複数のLCC(格安航空)が就航し、格安の航空チケットを利用しやすくなったので、てるみくらぶがウリにしていた格安の航空券の価値自体も薄くなってしまいましたよね。
 

業績悪化のキッカケその2:「外国人観光客の増加によるホテルの空き室不足」

2020年東京オリンピックの開催決定、観光地の世界遺産登録の増加など、様々な理由で年々、外国人観光客が年々増加しています。これによりホテルの部屋数不足が問題になるほど、空き室が出ないという状況が生まれています。

 

ビジネスモデルの破綻:商品の仕入れがまともに出来ないのにニーズに応えないといけない状態に

上記は業績悪化のキッカケという書き方をしていますが、「てるみくらぶ」にとってのこの状況はビジネスモデル事態が通用しなくなった、崩壊した状態と言えます。

まともに商品を仕入れる事ができない状態にも関わらず、ビジネスを継続するためには、「安くで旅行に行きたい」という旅行者のニーズに答え続ける必要がある。

安く仕入れる事ができなのであれば、自社の取り分を減らすしかありません。

そうして利益が出ない状態でもホテルの部屋、航空券の仕入れを止められない状態が続き、どんどん経営状態が悪化していく事になります。

 

共倒れは出来ない。取引先の企業が去っていく

そして、これは仕方の無いことですが、取引先の企業としても、業績が悪化した企業と共倒れするわけには行きませんし、沈む船には同乗できません。

入金が遅れる事が続くなどの明確な問題が発生すれば、どうしてもシビアな判断として、取引の縮小や停止という事になっていきます。

このような状況にまでなってしまうと、もはや銀行も融資をしてくれませんし、逆に融資したお金の回収を考えますよね。。

こうして、本来のスタイルで利益を確保出来る商品仕入れが出来ない、それどころか取引さえもできなくなるという状況になり、てるみくらぶは万事休すとなってしまった訳です。

 

「てるみくらぶ」の破産から女性起業家が学ぶべき事

時代・ニーズの変化で当初のビジネスモデルが通用しなくなった際に柔軟な対応・転換ができるか?

今回のケースでは、明らかに当初のビジネスモデルが通用しなくなっており、そのまま続ければ行き詰まる事は目に見えている状況であったように思います。そしてこれは、時代や社会・経済の環境、それに伴うニーズの変化によるものです。

当然、過去うまくいっているビジネスモデルがずっと通用し続ける訳ではありません。

最初に描いたモデルが通用しなくなると判断できた時、その予兆が見えた時に早い段階で手を打てるか?ビジネスの方針をニーズの変化に合わせて、転換できるか?という事が非常に重要となります。

変化が激しい今の時代は、時代の変化に柔軟な対応が出来るかどうかが、ビジネスの継続性に大きな影響を与えます。

 

ビジネスの転換や、早い段階での改善計画が立てられれば融資の可能性もある

取り返しのつかなくなる前に、早い段階で改善計画を立てることができれば、銀行からの追加融資、新たな借入、もしくは企業からの支援等の可能性もあったはずです。

どんどん沈んでいく状態のまま、お金を貸してくださいといっても、貸してくれるはずは無いため、まずは現状を冷静に判断し、改善策を考えていくことが必要になります。

 

キャッシュフロー・現金の重要性

今回、てるみくらぶが経営破綻の発表直前まで、現金一括入会キャンペーン等で資金を集めようとしていた動きについて「詐欺」などと言われている訳ですが、クレジットカード決済を対応をせずに、現金での回収、しかも一括にこだわったのは明らかに目先の現金が欲しかったという事が見え見えですよね。

ビジネスは目先にある(すぐに使える)現金がどれだけあるか?という事が非常に重要です。

契約が終わり、回収額が決まっていても、手元にお金が入るまでは、ビジネスの運転資金や投資に使うことができません。

その意味で、今回のように返済や支払いなどのために、とにかく目先の現金が必要になるケースでは、回収タイミングが遅いクレジット決済ではなく、現金で早期にキャッシュを集める必要があった訳です。

ただ、そういった最後の悪あがきが、さらに被害者を拡大する事に繋がってしまいました。

 

追いつめられた時でも、お客様の事を考えられるか?

もう破綻が見えている状態で、それでも営業活動を辞めず、旅行の催行自体が出来なくなる可能性が高いと分かっている状態でもなお現金を集めようとした行為は、お客様の事は一切考えていない、経営者として最もやってはいけない自分本意な行為です。

でも、元々、悪意を持ってこのような事をしたのではなく、追いつめられた結果、引き際をとっくに踏み越している事にも気づかず、何とか会社を継続しようとあがいてしまったために状況を悪化させてしまったというのが実際なんだろうなと思います。

追いつめられた時でも、お客様の立場にたって考え、行動できるか?という事は非常に重要です。

 

会社を守るためでも、越えてはいけない一線がある

今回てるみくらぶは、破綻の三年も前から粉飾決算をしていたという事実も発覚しています。粉飾決算は、刑事事件レベルのものなので、経営者の女性は逮捕される可能性もあるわけです。

いくら会社を守るため、お客様にサービスを提供し続けるためといっても、越えてはいけない一線があります。

それを超えてしまうと、刑事罰などの裁きもそうですが、会社としても個人としても取り返しがつかない程、社会的信頼を失ってしまいます。

 

立つ鳥跡を濁さずが大事。綺麗な終わり方をしないと再起も出来ない

冷静に引き際を見極め、お客様の被害を最小限に食い止めるための対応をとる等、できる限りの事を誠心誠意行うという対処ができていれば、結果的に多くの利用者に迷惑をかけたとしても、また再起する事はできると思いますが、正直、今回のように、ここまで跡を濁してしまうと、今後、てるみくらぶの女性経営者の再起は難しいと思います。

やはり綺麗な終わり方をしないと再起も図れないというのは、社会と関わって仕事をしている以上、当然のことと言えます。

 

経営者としての責任。ビジネスの大小に関係なく、社会と繋がっているという事

ビジネスの規模に関わらず、起業し商品・サービスの対価として報酬を受け取っている以上は、社会とつながって仕事をしているという責任をもつ必要があります。

てるみくらぶのケースでは、あくまでお客様の立場を考えれば、業績が悪化した時点で、他の企業に身売り話を持ちかけるなど、経営者本人が経営権を失う事になったとしても、事業を継続させる、お客様を守るという選択肢もあったかもしれません。

社会、多くの関係者と関わって仕事をしている以上、会社は経営者1人だけのものではないという意識を持つ事が重要で、その意識が経営者としての責任意識につながっていきます。

 

まとめ

というわけで、今回は「てるみくらぶ」の問題を題材に、女性起業家が学ぶべきことについて解説させて頂きました。

まだまだ尾を引きそうな問題ですし、新たな事実も出てきそうですね。

利用者だけでも影響を受ける人が10万人近くという規模の大きさから、これだけ大きな注目を浴びる事になった面もありますが、ビジネスの大小に関わらず、反面教師にするべきポイントは沢山あると思います。


筆者
黒瀬 圭

黒瀬 圭(Kei Kurose)
Girl’s Standard主催/株式会社ドリームテラー 代表取締役

1981年生まれ。沖縄県宜野湾市在住(出身は大阪府大阪市)
WEB制作、集客支援業務に12年以上携わり、子育て世代応援サイトも 運営。自身も2児のパパ。現在は、女性の起業、長く続くビジネスの 支援する立場として、全国の女性の自立支援に力を入れています。
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