女性起業家が予め考えておくべき「引き際」の判断について。撤退する勇気の本当の意味とは?

どんなビジネスにおいても「引き際」、「撤退する勇気」というのは非常に重要。引き際を間違えると赤字が膨らみ取り返しのつかない状態になってしまう事も多いので注意が必要です。

女性起業家の方で、特に主婦の方は家庭の事や子どもの事なども有りますので、無理をして家庭のバランスを崩してしまわないように「引き際」についても予め検討しておくことをオススメします。

 

順調に行っている時ほど大きな落とし穴がある

例えば、エステサロンを開業した女性が順調に業績を伸ばし、スタッフを2名雇う事ができる状態になったとします。自分も含め3名体制で毎月多くのお客様に対応し、黒字もコンスタントに出ている状況。

でも、近隣に格安料金がウリの全国ブランドの人気エステサロンが出店して、お客様の多くを奪われる結果になりました。

正直、スタッフ2名は不要で、自分ひとりで回せるお客様の人数しか来なくなりました。

こういう状況になっても、スタッフを簡単にクビにする事は出来ませんし、人情的な心理も働きます。

多くの経営者は、何とかスタッフを解雇せずに、集客・売上を戻そうと努力することを考えます。このケースの場合、うまく行っている時期の良いイメージもあるので、尚更です。

でも、このような状況で売上をすぐに元に戻すのは至難の業です。

結果的に、無理に雇用を継続し、人件費の赤字が膨らみ、会社のお金を底を尽きてしまう。中には借金までしてしまうような人もいます。

 

このケースの場合、どうすれば良かったか?

小規模な事業所の場合、意識や情報の共有は必須

従業員数が5名以下など小規模な事業所で、特に接客・サービス業の場合は、現場の感覚でもお店の状況は把握しやすいので、客足が明確に落ち込んだ段階で、スタッフとしてもお店として売上がマズイという事は実感しているはずです。

また、小規模な事業所の場合、連帯感や意識の共有も重要ですので、やはり、厳しい状況が見えた早い段階で、お店の状況をスタッフの方とも共有するべきです。

ただ給与を払ってくれる雇用主とスタッフの関係だけという意識のスタッフなら、その時点で別の働き口を探し始める人もいるかもしれませんが、スタッフ側にも生活があるのでそれは仕方が無いことです。

起業家に人としての魅力があり、スタッフとの信頼関係が出来ている場合は、お店の窮状を正直に話したとしても、すぐにお店を辞める判断はせず、スタッフも一丸となってお店の集客や売上アップを目指すという動きが取れる可能性もあります。

 

スタッフに今後の計画・流れ、万が一の場合について相談する

そして、雇用を継続する場合は、今後、売上を回復させるための具体的な取り組みやスケジュールについて相談し、共有しましょう。大切なのは期限をしっかり区切るという事。

この時期までに売上が回復出来なければ、雇用の継続が難しくなるので「解雇となる」 or 「フルタイムではなく、勤務数を減らしてもらう形になる」という期限を明確にしましょう。

そうしておけば、スタッフ側としても、とにかく今のお店で頑張る/この時期になったら別の勤務先を探すという判断がつきやすくなります。

雇用主としても、心苦しいとは思いますが、これはスタッフの方への最低限の配慮です。

 

人件費という大きな固定費はリスクにもなるという意識はしっかりもとう

そもそもの話ですが、やはりビジネスにとって、毎月発生する固定費は大きな負担となります。中でも人件費は、雇用の継続を前提とする上でもかなり思い出費となるため、大きなリスク要因にもなるという事は意識しておく必要があります。

雇用段階から、万が一、売上が落ち込んだ場合はどうするか?等について慎重に検討しておけば、リスクを想定した雇用形態なども考える事ができるようになります。

 

勇気を持って撤退すれば、ダメージは最小限。仕切り直せる

事業が傾いた時に、無理をして、赤字が膨らみ廃業となってしまっては元も子もありません。でも、勇気を持って撤退すればダメージは最小限に食い止められます。

そうすれば、また体制を立て直して一からでもゼロからでも仕切り直すことができます。

雇用の継続という事も重要ですが、法人であれ、個人事業であれ、まずは「会社を潰さない」という事が経営者の一番の責任と考えるようにして下さい。

 

撤退→仕切り直しから大きく成長する人も沢山いる

ビジネスが常に順風満帆にいくはずはありません。良い時もあれば悪い時もあります。

大成功している有名な起業家でも、廃業を経験している人も多いですので、従業員の解雇や、事業の撤退を取り返しのつかない失敗とは捉えないで下さい。

 

ビジネスを仕切り直して大きく成功している人の共通点は

 

・再起できない程の致命的なダメージを負う前に撤退している

・失敗を「経験」として成長の糧としている

 

という事です。

 

撤退、失敗の経験を成長のための「経験」という材料に変えていくためにも、引き際のタイミングを間違えないようにすることが重要です。

 

まとめ:最初から引き際、撤退の基準について検討する事はネガティブな事ではない

ここまで読んで頂ければ、引き際や撤退する基準について、予め考えておくということは決してネガティブな事ではなく、ビジネスを長く継続するために重要なことだとご理解頂けると思います。

そういった事も必要な準備・計画の一つです。

準備・計画がしっかりしていれば、具体的な対策と取り組みが行いやすくなるので、万が一のケースにも冷静に対応できます。

失敗を恐れずに突き進む勢いも重要ですが、失敗した場合の対処についても冷静に考えておくという事をオススメします。


筆者
黒瀬 圭

黒瀬 圭(Kei Kurose)
Girl’s Standard主催/株式会社ドリームテラー 代表取締役

1981年生まれ。沖縄県宜野湾市在住(出身は大阪府大阪市)
WEB制作、集客支援業務に12年以上携わり、子育て世代応援サイトも 運営。自身も2児のパパ。現在は、女性の起業、長く続くビジネスの 支援する立場として、全国の女性の自立支援に力を入れています。
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